悪い歯並びはその生え方によっていくつかの種類があり、治療方法が異なります。お子さまの歯並びはどのようなタイプでしょうか?このページでは歯並びの種類とその解説を行います。
●八重歯(乱杭歯)
ほんの少し口元から見える八重歯(乱杭歯)は「可愛い」とされる場合もありますが、それでも専門医の診断が必要です。ブラッシングしにくい為、食べ物の残りかすが溜まりやすく、虫歯になりやすいのです。子供の内から小児矯正で治療しましょう。
●出っ歯(上顎前突)
出っ歯(上顎前突)は口を開けた際のみならず、閉じている際のお顔の印象も変えます。大人になってからコンプレックスを感じ、思い切り笑えない方もいるほどです。子供の内に小児矯正で治療しましょう。
●受け口(反対咬合)
受け口(反対咬合)は正しい顔の成長に悪影響を及ぼしかねません。矯正(小児矯正)開始時期を見極めて治療に取り掛かる必要があります。お早めに矯正専門医にご相談下さい。
乳歯から永久歯に生え変わるには十分なスペースが必要です。乳歯列や混合歯列期(乳歯と永久歯が混じった時期)にガタガタがあったり八重歯がある場合、一般的には何もしないでそのまま永久歯に生え変わった場合、約70%の方が永久歯の抜歯を伴う矯正へ移行してしまいます。
逆に小児期の時期に取り外し式装置を使用し、あごの成長を利用して永久歯のスペースを確保することで、抜歯治療の可能性を大きく減らせます。
また、ガタガタや八重歯の状態のままは清掃性が悪く虫歯のリスクが高まります。特に永久歯は、生えたばかりは幼弱で虫歯になりやすい時期でもあります。小児期にガタガタをほどいてあげることは、将来的に永久歯のスペースを確保するだけでなく、間接的に虫歯のリスクも減らすことにつながります。
八重歯(乱杭歯)の変遷
一昔前までは日本では「八重歯」=「可愛い」などの認識がありましたが、海外ではドラキュラの歯と言われマイナスイメージです。
近年、海外旅行はもちろんお子さまで海外に留学をされる方が多く、八重歯(乱杭歯)のまま留学したらホームステイ先で「どうして八重歯を治さなかったの?」と聞かれて日本に戻ってきてから慌てて矯正治療をした患者さまもいらっしゃいます。日本でも欧米化が進みまた歯科知識の向上もあり昔の「八重歯」=「可愛い」イメージはなくなりつつあるようです。
八重歯(乱杭歯)のデメリット
八重歯(乱杭歯)は上記デメリットがありますが、最大のデメリットは歯磨きしにくいために虫歯になりやすく、歯周病のリスクが高まって早期に歯を失ってしまうリスクが高い噛み合わせであることです。
よく患者さまから「年をとると歯は、みんな自然に無くなってしまう」ということをお聞きしますが、それは間違いです。お口のメンテナンスをしっかりしていれば、何才になってもご自分の歯でしっかり噛むことができます。
痛くなって歯医者さんに行くのは、誰しも嫌なことです。それを防ぐには、日々の歯ブラシと定期的な歯科健診が必要になります。
一昔前の歯医者さんの考えでは「痛いときに行く」でしたが、現在は「痛くならないように行く」予防を含めた歯科健診的な考えが主流です。
出っ歯(上顎前突)の噛み合わせの種類は、上の歯だけが飛び出している出っ歯、下顎の成長が少なく骨格的に出っ歯になっているケース、またその両方などさまざまなケースがあります。
<出っ歯(上顎前突)の矯正治療(小児矯正治療)のメリット>
1.前歯が飛び出したままですと、お口が閉じづらいため歯や歯茎が乾燥しがちになります。歯や歯茎が乾燥してしまうと唾液による殺菌作用がなくなり虫歯になりやすく、また歯茎が腫れて歯肉炎になり口臭の原因になります。前歯を内側に入れることによりお口が閉じやすくなりこれら問題を改善できます。
2.上の歯が出ているため学校の体育の時間やお友達と遊んでいる時など歯をぶつけやすく大事な永久歯の前歯を折ってしまうケースが多くあります。前歯を内側に入れて上下前歯全体で噛み合わせてあげることにより、たとえ歯にボールなどがぶつかっても衝撃を歯列全体で受け止めることができるので、間接的に前歯を守ります。
3.前歯を適切に内側に入れることで上下の前歯をしっかり噛み合わせ、食べ物がうまく噛み切れるようにします。
4.出っ歯による心理的ストレスが小児期に解消できます。小さいうちはあまり気にならなくても思春期を迎えたあたりから気になる方が多いようです。
将来的に出っ歯の噛み合わせになる予測は、7歳くらいに分かります。なるべく重度の出っ歯(上顎前突)にならないように小児矯正で歯の位置や上下の顎の成長のコントロールが必要です。子供のうちに出っ歯(上顎前突)の状態でも小児矯正で将来的に永久歯を抜かずに矯正治療を行う可能性が高まります。
出っ歯(上顎前突)の場合、装置はプレートタイプの装置や夜間に使用して頂くヘッドギアと呼ばれる装置を使用することが多いです。また、歯の裏側に装置をつける見えない矯正もあります。
成長期の受け口はお顔の成長に大きく影響します。そのまま放っておくと上下のあごの成長のバランスが崩れ、お顔立ちに悪影響を及ぼす可能性が高まります。
そのため、生え変わりやあごの成長のバランスを診ながら矯正(小児矯正)開始時期を見極める必要があります。また、軽度の乳歯の受け口は、前歯の生え変わりの時期に自然に治る場合がありますが、乳歯と永久歯の噛み合わせは似ることが多いため、永久歯になってもそのまま受け口になってしまう場合が少なくありません。
乳歯の受け口はすぐ矯正が必要でない場合が多いですが、定期的(半年~1年に一度)に矯正歯科医のチェックが必要です。
<受け口の矯正治療のメリット>装置は、主に裏側から前歯をスプリングで押すタイプの装置、プレートタイプ、夜間に使用して頂く取り外し式装置があります。また、装置が見えなくする方法もあります。
受け口(反対咬合)の矯正の症例
受け口(反対咬合)を放っておくと、お顔の成長に悪影響を及ぼしてしまいます。成長期に矯正を開始したため、成長に悪影響を及ぼしている前歯の修正および上下のあごの成長のコントロールを行い、正しい成長の誘導を行うことができ、噛み合わせがきれいになりました。
特に永久歯の受け口(反対咬合)は、通常は自然治癒することは考えにくいため矯正専門医による早期の診断が必要になります。