2021/12/28
今日は小児矯正における骨格性反対咬合の治療開始のタイミングについて少し考えてみたいと思います。
矯正はいつから開始したらよいかという質問を多くいただきますが、
患者さんの不正咬合の状態によって変わってくるため、一概にいつということをお伝えすることはできません。
例えば、お子さんの永久歯への生え替わりの途中で、
上顎の前歯2本の永久歯が生えてきたけど、少し外側に傾いて正中が開いているという状態があります。これはすぐに治療開始する必要がない場合も多く、他の歯が後から生えてくる中で自然に隙間が埋まってたりします。
そのため、前歯に隙間ができたらすぐに治療開始するわけでなく、
成長の様子をみて治療開始のタイミングを確認する必要が出てきます。
しかし、逆に様子をみていることで、治療のハードルがあがってしまうケースもあります。代表的な症状としては骨格性の反対咬合(受け口)です。
受け口はシンプルに分類すると、①単純に下の前歯が上の前歯より外側に傾いている症状と、②下顎が上顎よりも前方向に出ている骨格性の症状とに分けられます。
単に歯の傾きで下顎の前歯が前に出ているものと違い、
顎の骨の成長バランスや噛み合わせの問題などからくる骨格性反対咬合は、放っておくことで悪化するリスクがあります。
それは、成人に近づけば近づくほど、骨の成長が終わり、最終的には外科手術が必要になってしまう可能性が出てきます。成人になっていざ治療しようとしたときには、
骨の成長を促しながら治療することが出来なくなるため、治療アプローチの選択肢がかなり限られてしまします。
骨格性と言われる顎の骨に問題がある場合は、骨の成長をサポートできる小児のうちに開始し、骨格性の問題を解決しておいた後に、歯の受け口を整えていくというのがベストになります。
他にも叢生などの歯のデコボコにおいて、歯が並ぶスペースが確保されないことが原因となっている不正咬合の場合、顎の骨の成長サポートを行ったり、小児の段階だからこそできるアプローチが多々あります。
初めに例を出したように、様子を見たほうが良いケースもありますが、
手遅れになってしまうと治療のハードルが上がってしまう場合もありますので、
まずは早めの受診でどのタイミングでの治療を行うのがベストか、
それぞれのメリット、デメリットを明確にしたうえで検討されるのが良いと思います。
特に受け口の場合は、実は奥歯の上下関係を確認することで噛み合わせをチェックしていますので、なかなかご自身で判断するのは難しいかと思いますので、
気になる場合は早めにご相談下さい。