お子さんのご褒美について

目立たない装置で矯正できます。横浜(神奈川県)の子供矯正(こどもの矯正、小児矯正)は当歯科医院へ。

お子さんのご褒美について

今回は矯正治療と少し離れますが、お子さんのご褒美についてというテーマでお話していきたいと思います。

 

このテーマに関しては心理学でも研究されており、「アンダーマイニング効果」と

「エンハンシング効果」というものが関係してきます。

それぞれどの様なものかを説明していきます。

 

 

・アンダーマイニング効果

 

心理学の用語で説明すると、「内発的に動機づけられた行為に、外発的に動機づけを行うことにより、モチベーションが低減する効果」となります。簡単に言うと、自ら進んでやっていることに対して、他人から報酬を受け取ると報酬を受け取ることが目的に代わり、自らの自発的な行為ややる気が失われるというものです。

これが起こる原因として、人は誰でも「自分のことは自分で決めたい」、「できることをできるようになりたい」という欲求を持っています。そのため、ある行動を自ら興味・関心を持って取り組んでいるうちは、「自分の行動を自分で決定している」という自己決定感を抱き、意欲的に行動します。

しかし、自分の行動が他人から監視・評価されていると感じると、自己決定感が低下し、「やらされているという感覚」が強くなって意欲を喪失してしまうのです。

つまり、報酬を与えられることで元々は自発的に始めた行動でも、「他人からやらされている」という感覚になり、アンダーマイニング効果が生じるようになります。

 

 

・エンハンシング効果

 

これはアンダーマイニング効果の逆の様な意味合いなのですが、心理学用語では「外発的動機づけによって内発的動機づけが高まるという効果」を意味しています。

例えば、尊敬する上司から仕事ぶりを褒められて仕事への意欲を高める、志望校合格が決まり、普段は人を褒めない父親から「よくやった」と言われて「大学でも頑張ろう」と思うことなどが、エンハンシング効果です。エンハンシング効果が生じるには、賞賛などをする人と本人の関係性が重要であり、赤の他人や嫌っている人から賞賛されても効果はありません。

 

 

この様な研究が、心理学の分野では行われています。

これを私たちの身近な例で考えてみると、治療中のお子さんに対して、

「毎日のブラッシングを頑張ったらお小遣いをあげる」などのご褒美を使用している方は少し注意が必要かもしれません。もちろん、一時的なやる気を出させるなどの効果として、ご褒美は有効だと思います。ただ、これを継続してしまうとお子さんにとってブラッシングは虫歯を作らない行為からご褒美をもらう行為に意識が行ってしまい、早くご褒美をもらうために少しずつブラッシングが疎かになってしまう可能性も考えられます。

 

また、矯正治療においては、顎間ゴムやリテーナー(保定装置)など、患者さんご自身で着脱して使用するものもあります。これもしっかりと計画通りに使用しないと、歯の動きが予定通り進まず、治療期間が延びてしまうこともあります。そのため、お子さんがしっかりと顎間ゴムやリテーナーを使う用に、何かしらご褒美を上げるというのは少し注意する必要が出てきます。

 

お子さんの教育でよく、「褒めて伸ばす」という言葉を耳にしますが、この様に上手にエンハンシング効果を用いながら、アンダーマイニング効果を起こさないように少し意識していただくのがいいのではないかと思います。私たちも矯正治療が嫌にならない様、楽しくコミュニケーションをとりながら、日々の努力に関しては褒めるということを意識していますので、もし親御さんから見て、何か気になる点などあったらいつでもお申し付けいただけたらと思います。