2018/10/17
今日は拡大床(かくだいしょう)に関して少し書いていこうと思います。
聞き慣れないかと思いますが、拡大床とは矯正装置の一種で、
歯の裏側からネジやワイヤーの力を利用してアーチフォーム(歯列)、
つまり顎の幅を広げるための装置です。
■拡大床のメリット
・非抜歯治療
成長期に顎の幅を広げるため、歯を並べるスペースを作りやすく、
将来的に比較的非抜歯での治療の可能性を高くすることが出来ます。
・取り外しが可能
装置は患者さん自身で取り外しが可能です。
お子さんの中には治療中の見た目を気にする子もたくさんいます。
拡大床は不正咬合の状態にもよりますが、
自宅にいる間、寝ている間に装着することで
顎の成長を適度に促し、永久歯のはえる場所の確保を目的としています。
気を付けなくてはいけないのは、
拡大床で「簡単に治る」「すぐ治る」「治療費が安い」
ということで安易に選択してはいけないということです。
ここでも過去書いてきましたが、
歯というのは弱い力を持続的に加えることで、
骨の吸収と再生が生まれ、
それを利用して動いていきます。
安易に拡大の力を加えたり、
加える向きを誤ると、歯の切端(先端部分)だけが
外側に向いてしまい、意図しない状況になってしまう
リスクがあります。
ひどい場合には治療前より不正咬合の状態が悪化し、
上顎前突(出っ歯)になってしまうということも報告されています。
つまり、拡大床は治療方法の一つでもありますが、
やはり患者さん一人一人の不正咬合の原因を見極め、
患者さんに合った治療法を選択し、
常に経過を確認しながら治療をしていくことが大切になります。
その中で拡大床が適した症状であれば
当然拡大床を選択して治療を行います。
あくまで永久歯につながる治療なので、
しっかりと永く安定した歯列、
噛み合わせを考えた治療を
常に提供していきたいと思っています。