2017/02/13
乳歯列期は永久歯列に影響を与えることから、たくさんの相談を受けます。
乳歯列に問題があると永久歯に影響があるのはもちろんですが、
慌てなくても良い場合も多々あります。
今回は乳歯列期においてどういった観点で
チェックすればよいかをお伝えしていければと思います。
■乳歯の隙間に関して
生後半年くらいを過ぎると、乳歯が生え始めてきます。
大体始めに生えてくるのは下顎中切歯(一番前の歯)で、
始めこの位置で大丈夫?
と心配されることもありますが、
他の歯がはえてくると揃ってきます。
2歳~3歳前後になると乳歯が生えそろい、
大体隙間がなく揃ってきます。
乳歯列期に隙間がないと永久歯になると
並ぶスペースが足りないため、
叢生(デコボコ、乱ぐい歯、八重歯)になりやすいのですが、
この時期はまだ揃っていても大丈夫です。
5歳を過ぎ、6歳くらいになり、
永久歯に生え変わるころになると少し歯と歯の間に隙間が出てきます。
この隙間は必要な隙間で、顎の成長によるもので、
永久歯の生える準備が進んでいることを意味しています。
この時期に全く隙間が出来てこないと、
永久歯に生え変わった際に叢生になる可能性があります。
■生え替わり
永久歯で一番初めに生えてくるのは第一大臼歯(奥から2番目の歯)で、
だいたい生え変わり年齢が6歳前後のため、
6歳臼歯とも呼ばれています。
この第一大臼歯の噛み合せが
他の歯の生えてくる基準になる為、
第一大臼歯が生えてくるころは注意したい時期です。
永久歯に生え替わる次期(混合歯列期)は、
永久歯にすべて生え変わる為の時期で、
前歯に隙間があったり少し歯並びが心配になってしまったりします。
12~13歳ころに第二大臼歯まで生え変わり、永久歯列期になります。
■乳歯列期から永久歯列期へ チェックポイント
ではどういった観点でこの生え変わり時期を見ていくと良いのでしょうか。
①第一大臼歯(6歳臼歯)がしっかりと生えてきているか。
乳歯列期の最後の方で生えてくるため気づきづらいため、注意が必要です。上下の第一大臼歯の噛み合せが歯並びの基準になります。
②5,6歳ころに隙間があるか。
永久歯に生え替わる前の5,6歳ころに永久歯に生え替わる為のスペースがあるか確認します。
③上顎前歯の間に少しの隙間があるか。
あまり広すぎる隙間があるのも問題になります。大体5㎜以下が目安です。
④側切歯の生える位置。
顎の成長がしっかりと進んでいない場合、後から生えた永久歯が先に生えている歯の裏側に生え始めることがあります。
⑤上下の前歯の前後関係。
特に下顎前歯が上顎前歯より外側に生えてきていると、反対咬合(受け口、しゃくれ、下顎前突)になります。そのまま成長が続くと、不正咬合の度合いが悪化することもあります。
⑥水平方向の確認。
特に奥歯の生え方が水平方向(横)にずれていないかの確認が必要です。交叉咬合(クロスバイト)になっていないかを確認します。
顎の成長、歯の生え替わり時期などは人それぞれ違います。
そのため、誰でも当てはまることはなかなか言い切れません。
大切なことは口腔内の衛生管理(しっかりとした歯磨き)と、
歯に注意を向けることだと思います。
そして慌てずに対処することです。
不正咬合が悪化する前に矯正治療することは大切ですが、
それもしっかりと検査、診断したうえで決めていくことが何より大切になります。
顎の成長過程を確認するためにも、
一度矯正専門医に検査してもらうこともできるので、気になる場合は相談してみていただければと思います。