2016/11/02
今回は様々ある不正咬合のうち、交叉咬合についてご紹介したいと思います。
交叉咬合は「すれ違い咬合」とも呼ばれ、
我々矯正治療専門医はクロスバイトと呼んでいます。
交叉咬合は上下の噛み合せが横方向にずれている状態で、
歯の生え方の問題、あるいは顎の位置に問題があるものとあります。
本来正常な噛み合せをしている場合、
上下の正中線(一番前の歯二本の間)が揃い、
上顎の歯は下顎の歯の少し外側(頬側)に被さっています。
顎が横にずれていることから生じる交叉咬合は、正中線がずれ、
上顎の歯牙が下顎の内側に入ってしまいます。
この交叉咬合の問題もいくつかありますが、
まず挙げられるのが咀嚼機能の低下です。
顎がずれているため、特に奥歯での咀嚼機能に問題が生じやすく、
また放っておくと更に悪化する可能性も高いといえます。
原因は様々あり、遺伝的なものから外的要因とあります。
外的要因で言うと、常に同じ方向で頬杖を突くことから影響を受けたり、
舌癖や口呼吸が原因となっていることもあります。
また軟らかいものばかり食べることによる骨の成長バランスが
原因となっていることもあります。
骨のバランスがおかしくなり、交叉咬合になってくると、
食べ物を噛む度に強く噛みこむ部分と、
ほぼ噛めない部分が分かれて不正咬合は更に悪化します。
また食べ物をすり潰す機能が左右どちらかに偏ってしまい、
顎関節症などにつながってしまうケースもあります。
乳歯列期において正中線が揃っているかを確認することで、
交叉咬合の可能性を診ることもできます。
正中線が揃っていない場合、
左右の奥歯が交叉咬合になっていないかを確認しましょう。
もし下顎が外側に出ている歯がある場合は
早めの改善を検討したほうが良いでしょう。
上顎前突(出っ歯)、下顎前突(反対咬合、受け口、しゃくれ)など
これまで様々な不正咬合をご紹介してきましたが、
交叉咬合は悪化すると顔の歪みまで生じてしまいます。
咀嚼機能、見た目両面から弊害が大きくなる交叉咬合は
骨の成長をコントロールしながらの早い段階での治療が大切です。