2016/05/28
今日は矯正治療中の食事に関してのコラムを書いていこうと思います。
矯正治療を受けるか迷っている方から、
食事の不都合に関する不安を聞くことがあります。
矯正治療中は好きなものが食べられなくなる、
軟らかいものばかりになってしまうのではないか、という不安です。
確かに矯正治療中の食事には注意が必要になります。
けれども完全に食事制限されるかというと、意外にそうでもないと思います。
今回は矯正治療中に気を付けるポイントをご紹介して、
そのポイントを抑えながら日々の食事も楽しんでもらいたい
というメッセージになればと思います。
① 痛みに関して
矯正治療が始まると処置が終わってから2~3日
多少の痛みを感じる場合があります。
様々な矯正材料の進化、矯正専門医としての技術により、
昔と比べて痛みはかなり軽減されてきていますが、
人によって多少の痛みを感じることは否めません。
それは歯を動かす際に歯根(歯の歯茎に埋まっている部分)と、
それを支える歯槽骨の間の歯根膜が感染のない炎症を起こすためです。
歯の動く仕組みについて以前詳しく書きましたが、
特に食事など噛みこむ力が加わる際に痛みとして感じる患者さんもいます。
そのため、痛みが発生している間は上にあるように
あまり硬いものを食べない方が良いという話になるのです。
② 矯正装置に関して
矯正装置の種類にもよりますが、
複雑な構造を持つセルフライゲーションブラケットなどは
特に破損のリスクがあります。
またブラケット自体が破損するのではなく、
強い力によって脱離(ブラケットが外れてしまう)こともあります。
一旦ブラケットが外れてしまうと、
再度、矯正医院に行って装着し直す必要が出てきます。
そのため、やはり無理な力が加わる様な食事は避けたほうが良いでしょう。
③ ブラッシング
矯正治療中に齲蝕(虫歯)になってしまうと、
一度、矯正装置を取り外し、虫歯治療を行ってから
矯正治療に戻るということになりかねません。
治療期間にそのまま影響するため、
食事後の丁寧なブラッシングが必要とされます。
これは食事自体ではなく、食事後の注意すべきポイントになりますが、
とても大切な視点になります。
④ 見た目
食事中の見た目に関して心配される方もいらっしゃいます。
食べている最中にブラケットや、
ワイヤーに食べ物が引っかかってしまうことに関する懸念です。
これは実際あり得ますので、
中にはあまり外で食事出来なくなるのではないかと
おっしゃる方がいらっしゃいます。
多くの矯正治療患者さんが外食する際に、
食後すぐに歯を磨きに行くことで解決しています。
特に気になる場合、実は裏側矯正(舌側矯正、リンガル)を
選択される方が増えてきています。
成人に多い矯正治療方法ですが、
仕事上の会食などを考えて裏側矯正なら食事中も
食べ物が引っかかっても見えないということからです。
誰でも毎日必ず食事しますので、
食事に関して心配する方も多いかと思います。
実際上記にあるようなポイント、注意が必要になります。
しかし矯正治療を始めると痛みに関してや、
その期間など、患者さんそれぞれが大体の感覚を掴めるようになります。
ワイヤーを締め直した直後には
痛みが伴うため外食や硬いものは避ける、
などそれぞれのペースを作っていけるかと思います。
常に注意が必要なのはブラッシングになりますので、
その点に関してはブラッシング指導もきっちりとご案内していければと思っております。
ぜひポイントをしっかりと抑えながら
安心して食事も楽しんでいただければと思います。