2014/10/03
抜歯をしないで矯正治療を行いたい(非抜歯矯正)という
患者さんは多くいらっしゃると思います。
ひらの矯正歯科でも患者さんの想いに応えるために、
出来る限り非抜歯での矯正治療を行っております。
今回は気になる抜歯矯正と非抜歯矯正に関してお話ししたいと思います。
まず非抜歯での矯正をする為に必要なことは、
アーチフォーム(歯列弓)と呼ばれる歯が植わっている顎の骨の部分に
歯がキッチリと並ぶスペースが必要になります。
近年の日本人は、食が欧米化により柔らかい食べ物が増え、顎の成長が進まず、
このアーチフォームが広く確保出来ないという患者さんが大変増えてきています。
そこで非抜歯の矯正を行う為には、顎の成長のある子供の時期に
顎の成長を促しながらの矯正治療を行うことが、
非抜歯で矯正治療を行う可能性を高める大きなポイントの一つになります。
しかし、逆に成人の患者さんの場合、顎の成長が無いため
顎の成長を促しながら矯正治療を行うということが難しくなってしまいます。
実際ひらの矯正歯科に来られる小児矯正の患者さんのうち、
約70%の患者さんが非抜歯矯正で治療をしています。
しかし成人だから必ず抜歯矯正になるということもありません。
歯のガタガタが少なくアーチフォームを広げる必要がなければ、
非抜歯で矯正治療をすることが可能です。
ただ非抜歯が良い治療で抜歯がネガティブな治療では、決してありません。
大切なのは、抜歯・非抜歯のみで語るのではなく、
「しっかりと現在の状況や症状を把握し診断したうえで判断する」
ということです。
抜歯矯正と非抜歯矯正とどちらが正しいのか?
という単純なことではなく上記の様に抜かずにしっかり治せれば、非抜歯治療、
抜いた方が顎に無理がかからずにメリットが多ければ、抜歯治療を選択すべきだと
思います。
全て非抜歯治療というと、一見、抜かないで全て治るので聞こえは良いですが、
よく整理して考えてみると、
非抜歯治療という治療方法に
患者さんを当てはめてしまっていることになってしまいます。
医療はそうではなく、まず治療法ありきではなく、
患者さんの症状に合わせて治療法を選択すべきだと思います。
こういったことも踏まえて、抜かないで良く治れば一番よいと思いますので、
まず抜かないで治せるかどうかを検討し、
抜かないとデメリットが多く厳しい場合は、抜歯治療をおすすめすることも、
もちろんあります。
患者さんの症状に合わせた治療法です。
ひらの矯正歯科では安易に100%非抜歯とは言いませんが、
患者さんの状態を正確に診断したうえで、出来る限りの非抜歯矯正に努めています。
私も家族、子供がおりますので、
まず「自分の家族、子供が同じ症状だったら」
といつも考えながら診断をしております。