2019/01/30
今日は矯正治療における「Ⅰ期治療」と「Ⅱ期治療」についてご紹介したいと思います。
まず、みなさんご存知の通り、歯は乳歯と永久歯があります。
全て乳歯である乳歯列は大体3,4歳から6歳くらいまでで、
混合歯列期と呼ばれる乳歯と永久歯が混在する生え替わりの時期を越えて、
12歳ころに永久歯に生え替わります。
この8歳から12歳の混合歯列期は、比較的上顎の骨の成長が進み、
12歳ころからの永久歯列機は下顎の骨の成長が進みます。
このⅠ期治療とⅡ期治療は、矯正治療ということでは同じですが、
治療していくアプローチが異なってきます。
特に叢生(デコボコ、乱ぐい歯、八重歯)や、
捻転(歯がねじれている状態)を考えるとその違いが分かってきます。
まず、Ⅰ期治療は、これから生えてくる永久歯がしっかりと並ぶように、
その土台を作っていく矯正治療を行います。
これまでも書いてきましたが、叢生になる原因として最も多いのが
歯が並ぶスペースがキッチリと確保できないことが挙げられます。
顎の骨の成長が遺伝などの理由からしっかりと進まず、
正常な並びが出来ずに歯がねじれたり飛び出したりしてしまうのです。
そのため、Ⅰ期治療では、拡大床などを使い、
歯が並ぶための土台になる骨を広げて、歯が並ぶようにします。
これに対してⅡ期治療は骨の成長がある程度終わっているため、
治療アプローチが変わってきます。
成人の患者さんでも歯列の拡大を行いスペースを確保することもできますが、
智歯(親知らず)の状態を確認して、
第二大臼歯から奥方向に移動させてスペースを確保したり、
歯の側面を本当にわずかに削って(ディスキング)スペースを確保することもあります。
その中でスペース確保がどうしても厳しい場合は、抜歯することもあります。
ここで問題になるのが、抜歯するかどうかということですが、
単に抜歯することでスペース確保でき、
治療が簡単という理由で抜歯することはしません。
抜歯するのは、上記のアプローチを検討してみて、
それでも無理やり治療すると歯並びがまたおかしくなってしまうリスクがあるときです。そのため、後戻りリスクなどを含めて患者さんに
ご説明したうえで抜歯の有無を決めていきます。
このようにⅠ期治療とⅡ期治療はアプローチが変わってきます。
Ⅰ期治療のメリットとしては抜歯の可能性が下がることがありますので、
お子さまの歯並びが気になる場合は、早めに検査されることをお勧めいたします。